こんにちは。
今回はコンポストをはじめるに当たって一つのハードルになる「臭い」について、「コンポスト化における臭気の発生と微生物の働き」という論文を紹介します。
ミミズコンポストのメリットとして挙げられることは、ほとんど臭いのしないことです。
実際に私も室内に置いていますが、全く気になりません。
それは、臭いの原因はミミズではなく、ミミズが住むコンポストの環境によるものだからです。
ミミズコンポストといっても、コンポスト内の微生物が有機物を分解しており、ミミズはそのアシストをしています。
ですので、微生物の種類やコンポスト内部の環境が悪くなると異臭の発生につながりますので注意しましょう。
コンポスト内の微生物と臭気の関係性
微生物は大きく分けると、酸素を好む好気性微生物と、酸素を嫌う嫌気性微生物が存在します。
好気性微生物と嫌気性微生物では増殖速度が異なり、好気性微生物の方が増殖スピードは早いそうです。
いずれにしても、臭いを抑制させるコンポストを作るためには生ゴミを分解する微生物がポイントになります。
そして、家庭でコンポストを作る場合は好気性条件の方が良いとのことです。
好気性条件下での臭いの発生メカニズム
好気性条件下が良い理由は、嫌気性条件下では臭いの原因となるアンモニアをはじめとする様々な臭気ガスが発生するためです。
一方で、好気性条件下では、有機物は無臭である水と二酸化炭素に最終的には分解されます。
ただし、好気性条件下であっても水や二酸化炭素に分解されるまでにアンモニアが発生します。
しかも、好気性微生物の方が嫌気性微生物よりも増殖スピードが早いため、アンモニアの発生も早いということになります。
しかしながら、コンポスト化において、好気性条件下では硝化反応という反応が起こってアンモニア臭を抑制できるとのことです。
残念ながら、コンポスト内の硝化反応は高温で維持されているときは起こらず、低温でないと起こりません。
すなわち、通常の微生物コンポストでは、微生物の働きにより60℃以上に温度が上昇するため、好気性微生物がアンモニアを多量に発生させますが、そのときは高温のため硝化反応は起こらないということになります。
それでも好気性微生物が良い理由は、アンモニアは水に溶けやすく、酸性成分と中和させるといった対策を取ることができるためです。
そして、ミミズコンポストではそもそも、ミミズが食べられる量の餌しか生ゴミを入れないため、活発な微生物による発熱はなく、アンモニアが発生しにくく、発生しても湿っぽい環境が臭いを吸着してくれると考えられます。
もちろん、ミミズの許容範囲を超えた生ゴミの投入は腐敗臭の原因となりますので、注意しましょう。
嫌気性条件下での臭いの発生
続いて、家庭のコンポストには向かない嫌気性条件での臭いの発生についてです。
酸素が無い状態だと、無臭である二酸化炭素や水に完全分解されることはなく、中間体であるアルコールや、アルデヒド、及び、硫化水素などの硫化物といった、臭いの原因となるガスが発生します。
これらのガスは少量でも不快に感じる臭気成分です。
ミミズコンポストでも、コンポスト内に酸素が供給されていなければ、部分的に嫌気状態になる可能性があり、臭いの原因になります。
こまめに混ぜるなどして、コンポスト全体に空気をいき渡らせるように気をつけましょう。
まとめ
微生物には大きく分けて好気性と嫌気性があります。
好気性条件下では有機物は水や二酸化炭素に完全分解されますが、中間体としてアンモニアも発生します。
アンモニアは臭いの原因となりますが、対処方法もありますし、高温にならないミミズコンポストではほとんど問題になりません‥
しかしながら、嫌気性条件下では硫化物など不快な臭気成分が発生します。
ですので、ミミズコンポストでも必要に応じてかき混ぜるだけなどして、酸素を取り込むようにすることが大切です。
よって、臭いの面では通常の微生物コンポストよりもミミズコンポストの方が優れていると言えるでしょう。
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