こんにちは
今回は生分解性プラスチックの分解機構編ということで、分解方法の違いから分解挙動について説明します。
生分解には、微生物が分泌する加水分解酵素によって分解する「酵素分解型」と酵素の作用を受けずに加水分解によって分解する「非酵素分解型」があります。
まず初めに、酵素とは分解反応を触媒するもの、すなわち分解する反応を早める働きをするものです。
生分解性プラスチックの酵素分解
生分解性プラスチックの分解においては、微生物が分泌する酵素による加水分解が一般的です。
そして、加水分解とは反応物が水に反応して生じる分解反応です。
高分子中のエステル結合(-COO)が水による攻撃を受けて分解し、主鎖が切断されて、分子量が低下します。
切断され、オリゴマーやモノマーのように短くなった高分子は微生物の代謝により、水や二酸化炭素といった環境中に無害な物質へ返還され、プラスチックごみとして残らないということになります。
図解すると次のようになります。
酵素分解型の生分解性プラスチックには、PCLやPBS、PHBなどがあります。
生分解性プラスチックの非酵素分解
続いて、非酵素分解についてです。
酵素による加水分解かそうでないかの違いで、基本的には先述した酵素分解型と同じように分解されます。
非酵素分解型に分類される生分解性プラスチックにはPLAやPGAがあげられます。
ただ、PLAを分解する微生物や酵素も見つかっているようです。
好気性微生物による分解・嫌気性微生物による分解
微生物の種類により分解方法を分類すると、酸素を必要とする好気性微生物により分解する方法と、無酸素状態で活動する嫌気性微生物により分解する方法があります。
生分解性プラスチックの中でもPLAやPHAは好気性および嫌気性下で分解されることが知られています
好気性微生物による分解と嫌気性微生物による分解で何が異なるのでしょうか?
まずは、土やコンポストに埋めて分解させる、好気性微生物による分解の場合は二酸化炭素が発生します。
一般的に普及している生ゴミを再資源化する方法です。
例えば、生分解性プラスチックゴミ袋にいれた生ゴミを堆肥化設備にもっていき、ゴミ袋もろとも堆肥化する処理方法があります。
当然、生分解性ゴミ袋は生ゴミと同等以上の生分解スピードが必要となります。
一方で、嫌気性微生物による分解方法では、主にメタンガスが発生し、発生したメタンガスはエネルギーとして利用することが検討されています。
捨てられるはずのプラスチックを分解でき、再資源化としてエネルギーに変えられるのであれば、非常にエコなシステムであるといえます。
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