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生分解性プラスチック 結晶構造特徴~PBS(polybutylene succinate)編~

バイオプラ
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    こんにちは

    今回は生分解性プラスチックとして有名なもののひとつであるPBS(ポリブチレンサクシネート)の結晶構造の説明をします。

    ネットで調べてもなかなか出てこない内容ですが、PBSは延伸することによって特徴的な結晶構造変化を生じます。

    PEやPPなど、通常プラスチックは延伸すると非結晶部分が延伸方向に配向します。

    ラップを引っ張ってもわかる通り、一回伸びてしまうと元に戻らない変化を起こします。

    ただし、熱をかけて融解させた後、再び結晶化させることで延伸した履歴はキャンセルされます。

    PBSの結晶相転移について

    PBSも同じように伸びるのですが、十分に伸び切った後、破断しないようにさらに引っ張ると結晶部分の構造がもともとのα結晶からβ結晶に転移します。

    そして、この結晶構造の変化は延伸した状態から、延伸を緩和させることにより結晶構造がβ結晶からα結晶に戻ります。

    この話を整理すると、まず第一段階の延伸により非結晶部分が延伸されて結晶部分が配向します。

    次に第二段階の延伸により結晶部分が延伸されて結晶構造がα結晶からβ結晶に転移しますが、緩和によりα結晶に戻るため、α結晶⇔β結晶の可逆的な転移であることが言えます。

    結晶相転移の原理とは?

    PBSの延伸前のα結晶において、分子中のテトラメチレン単位は部分的にgauche構造を持っております。

    gauche構造とは簡単にいうと”ねじれ構造”です。”G”と表記されます。

    一方、延伸によりα結晶中のgauche構造が伸ばされて、ねじれが解消した構造をtrans構造と言います。

    ”T”と表記されます。

    すなわち、α結晶からβ結晶に転移するとは、PBSの分子中のテトラメチレン単位がgauche構造からtrans構造に変化することを意味しています。

    このように、分子の結合の回転に起因した空間的な原子位置の変化をコンホメーション変化と言います。

    図を見ていただけると理解しやすいかと思います。

    このように、PBSには延伸によるコンホメーション変化による結晶相転移を生じるといった特徴があります。

    ただ単に、生分解性プラスチックの一種としてだけではなく結晶構造まで落とし込んで考えることは面白いと思います。

    しかしながら、α結晶とβ結晶で何らかの物性の違いはあるかと思いますが、β結晶は延伸緩和によりα結晶に戻るため、維持しておくことは困難です。

    基本的にはα結晶の物性で生分解や成形性などの物性を考えることになります。

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