バーミコンポスト(ミミズコンポスト)は、ミミズを利用して有機性廃棄物を高品質の肥料に変換するプロセスです。
今回はネパールの農林大学で実施されコチラの論文「Utilization of Agricultural Wastes as Substrates for Vermicomposting」を紹介します。
この論文によると、バーミコンポストを利用することで、さまざまな農業廃棄物が肥料に転換しうることがのべられています。
〇使用された廃棄物
本研究では、バーミコンポストに次のような基材が使用されています。
・Lantana camara
ネパールのさまざまな地域で見られ、放牧動物に毒性を引き起こす可能性がある雑草。
しかし、バーミコンポストはこの雑草の毒性を取り除き、優れた有機肥料に変えることができるとのこと。
・Ageratum conyzoides
一年生および多年生作物の雑草
・バナナ偽茎(ぎけい)
偽茎とは、葉の根もとの部分が重なって茎のようになったもの。
・庭の廃棄物
芝生や生垣の切りくずといった庭から出る廃棄物。
・Mycosraw
きのこ栽培の残骸
・野菜の廃棄物
収穫後のカリフラワー、キャベツ、ブロッコリーの作物残渣
・敷料として稲わら・牛糞
ミミズに快適な生活材料と安定した環境を提供する素材。
牛糞単独および牛糞とそれぞれの基材との混合物をミミズ堆肥化した。
〇実験
コンポスト化として、プラスチック容器に入れられました。
各処理において、敷料として刻んだ稲わらを使用しております。
バーミコンポストは、下表1.の基材それぞれ1kgに対して、牛糞を2kg加えたものにミミズ200匹を入れた構成になっております。
また、コントロールグループとして、ミミズを含まず牛糞のみのものと、別に、ミミズに牛糞のみを与えたものも用意し、計8種類準備されております。
ミミズ堆肥化のプロセスは 75 日間行われました。
実験の最後に、各処理におけるミミズの総数を計算し、ミミズ堆肥サンプルを栄養分析しています。
〇結果
すべてのバーミコンポストサンプルの栄養素含有量は、ミミズが含まれていなかったコントロールグループよりも有意に高かったことを示しました。
また、堆肥化に使用される基材が何であれ、バーミコンポストの NPK 含有量は、牛糞だけのものよりも NPK 含有量よりも高いことがわかりました 。
ただし、栄養素の含有量は基材間で大きく異なっています。
バーミコンポストに使用されたさまざまな基材の中で、Lantana camaraが最も高い窒素含有量 (2.53%)を示し、バナナ偽茎 (2.49%) が続きました。
リン含有量 では、mycosraw (1.46%) および野菜廃棄物 (1.43%) と有意に同等でした。
カリウム含有量の場合、アゲラタムが最も多く(3.29%)、次にバナナ偽茎(2.46%)が続きます。
〇まとめ
以上より、バーミコンポストは、ミミズの助けを借りて廃棄物管理と有機農業の促進に大きな役割を果たします。
廃棄された作物の残留物や恐ろしい作物の雑草は、栄養豊富な土壌改良剤を生産するミミズ堆肥の基材として利用できます。
使用される基材の種類は、バーミコンポストの品質と栄養分に影響を与える可能性があります。
この研究では、ミミズ堆肥化に適した基材は、従来の牛糞堆肥よりも優れた堆肥になることがわかりました。
さらに、牛糞を他の植物残渣と混合すると、より優れた基材となり、栄養分が強化されたバーミコンポストが得られます。
Lantana camara、mycosraw、および Ageratum conyzoides には、それぞれ窒素、リン、およびカリウムが最も多く含まれていました。
したがって、Lantana camara、Ageratum conyzoides、バナナの偽茎は、他のものよりも NPK 含有量が豊富であると思われました。
この研究で使用されたすべての基材は、肥料の可能性が高く、ミミズの堆肥化によって有効に利用できると結論付けることができます。
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