こんにちは。
ここ最近、レジ袋が有料化になったり、プラスチックストローが紙製のものになったりと、プラスチックが悪者扱いされているような感じがします。
私自身、プラスチック関連メーカーで働いているため、このような風潮になっていることは悲しく思います。
とはいえ、メーカーとしては世間のニーズに合った製品を作る必要があります。
例えば同じプラスチック製品でも石油由来の原料ではなくて、植物由来の原料を使った製品として環境対応をアピールしたり、プラごみ問題に対応するため生分解性プラスチック製品の開発を進めたりといった流れになってきています。
植物由来の原料を使ったプラスチックのことを、バイオプラスチックといいますが、サトウキビやトウモロコシなどから原料が作られたりしています。
ここで、最近目にしたり聞いたりすることがあっても、一般的にはあまり知られていない、生分解性プラスチックについて焦点をあてて解説させていただきたいと思います。
プラスチックの基礎知識
まずは、プラスチックの構造についてですが、ポリ袋や胃の周りの様々な製品の原料であるポリエチレンやポリプロピレン、PETなどは分子構造中に結晶を有しているため結晶性樹脂と呼ばれております。
この結晶というのは長くつながった高分子の鎖がきれいに折りたたまって安定している状態にあることで、ラメラ結晶と呼ばれます。
すなわち、結晶性高分子とはラメラ結晶として整列した状態で一部存在し、残りはぐちゃぐちゃのままで存在しております。
そして、この高分子鎖はポリマーと呼ばれており、小さい分子が鎖状に連なって構成されています。
一番小さい分子単位をモノマー、二分子をダイマー、三分子をトリマー、数個つながった状態をオリゴマーと言います。
なぜこんな話をしたかというと、生分解性プラスチックの分解機構を理解しやすいと思うからです。
生分解性プラスチックの基礎!
生分解性プラスチックの分解機構には「酵素分解型」と「非酵素分解型」があります。
ここでは、生分解性プラスチックの代表である「ポリ乳酸」(以下、PLA)について解説します。
PLAはトウモロコシからも作ることができる、「バイオマスプラスチック」であり、「生分解性プラスチック」でもある非常に環境に優しいプラスチックです。
PLAは非酵素分解型に属します。
高分子量のPLAを分解する微生物や酵素は自然界にないため、生分解とは別の分解である加水分解をさせることで、平均分子量を低下させる必要があります。
すなわち、高分子鎖をぶちぶち切って短い分子にするというイメージです。
そして、十分に短くなった状態でようやく微生物の働きにより、二酸化炭素と水に分解されることで、プラスチックが環境中に残らないということになります。
これが、生分解性プラスチックのPLAの分解イメージでした。
生分解性プラスチックというととにかく環境に良いと思いこんで、地球温暖化対策になると勘違いされる方もいらっしゃいますが、生分解に伴い二酸化炭素などの温室効果ガスが排出されます。
あくまで、環境中で分解し、ごみとして残らないといった特徴をもつということです。
これからも、環境に配慮したバイオプラスチックについて紹介していけたらと思います。
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