今回は環境問題の中でも、身の回りの様々な物品に使用されているプラスチックの資源循環についてまとめています。
近年、SDGsや環境問題を背景に、脱プラスチックや海洋プラスチック問題など耳にする機会が増えたと思います。
よって、ここでプラスチックの資源循環に焦点を当てたこれまでの政策について押さえていきましょう。
循環型社会形成推進基本計画
2003年、循環型社会を実現するために「第一次循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画)」が定められました。
本計画は2008年に第二次、2013年に第三次と5年ごとに見直され、
2018年、環境的側面、経済的側面及び社会的側面の統合的向上を掲げた「第四次循環基本計画」が定められました。
第四次循環基本計画では、重要な方向性として次のように定め、その実現に向けて概ね2025年までに国が講ずべき施策が示されています。
①地域循環共生圏形成による地域活性化
②ライフサイクル全体での徹底的な資源循環
③適正処理の更なる推進と環境再生
④万全な災害廃棄物処理体制の構築
⑤適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進
このような、環境的側面、経済的側面及び社会的側面の統合的向上を掲げています。
プラスチック資源循環戦略
第四次循環基本計画を踏まえ、2019年に策定されたのが「プラスチック資源循環戦略」です。
これまでは、「3R」を推進することにより、プラスチック資源の循環型システムの構築を目指してきました。
3Rとは、優先度が高い順に、
①プラスチック廃棄物の発生を抑える「Reduce(リデュース)」
②繰り返し使用する「Reuse(リユース)」
③原料に戻してから再利用する「Recycle(リサイクル)」
となっております。
そして、プラスチック資源循環戦略においては、上記の3Rに再生可能を意味する「Renewable(リニューアブル)」を追加した3R+Renewableを重点戦略として掲げております。
Renewableの例としては、再生可能な植物から作られるバイオマスプラスチックの使用が挙げられます。
そして、政府はプラスチック削減に向けて、3Rとバイオマスプラスチックのそれぞれに対し、次のようなマイルストーン を掲げています。
〈リデュース〉
①2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制
〈リユース・リサイクル〉
②2025年までにリユース・ リサイクル可能なデザインに
③2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
④2035年までに使用済プラスチックを100%リユー ス・リサイクル等により、 有効利用
〈再生利用・バイオマスプラス チック〉
⑤2030年までに再生利用を倍増させる
⑥2030年までにバイオマス プラスチックを約200万トン導入
G20大阪サミット
地球規模で起こっているプラスチックゴミによる海洋汚染問題を背景に、2019年6月に大阪で開催されたG20大阪サミットにて2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにするという「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を世界に共有しました。
そして、その実現に向け、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」が採択され、G20首脳に承認されております。
具体的な内容としては、G20各国は、以下の自主的取組を実施することが求められています。
①適正な廃棄物管理
②海洋プラスチックごみ回収、
③革新的な解決策(イノベーション)の展開
④各国の能力強化のための国際協力など
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律について
2022年4月より公布された、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」については、プラスチックのライフサイクル全体に渡って3R+Renewableを促進させていくと述べられています。
ライフサイクルとは本来、生物の一生を意味する言葉ですが、ここでは、プラスチックの原料調達から廃棄までの流れを意味しています。
プラスチックのライフサイクルとは、おおまかには原油の採掘から、原油を精製し、プラスチック原料を作製します。
そして、プラスチック製品が製造、販売され、最終的には処分されるまでの流れを言います。
細かく見ると、各工程間で輸送が必要であるため、移動のためのエネルギーの消費も入ってきます。
同法ではその中でも、プラスチック製品を設計・製造する工程から販売・提供する工程、そして回収・リサイクルする工程において取り組むべき対象が記されております。
各工程でので3R+Renewableを促進することが強調されております。
以上、プラスチックの資源循環に関する日本の取り組みの流れを押さえました。
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